Story about seal
はんこの物語

column 01

あなたを映す認印だからこそ
手彫りで

あなたはどんな認印を使っていますか?

実印や銀行印などの登録印は手彫りで作っても、認印は何でもよいと考える人もいますが、
暮らしの中で人目に触れてあなたを映すのは認印です。

認印も自分の意思決定や行動に責任を持つものです。
何でもかまわないと思っている人と、
良い物を暮らしの中で大切に使っていこうとする意識の違いがわかるのが認印ではないでしょうか? 
何を基準に選んで使うかはその人の価値観が反映されます。

価格や納期の迅速性、注文の手軽さを第一優先にする人なのか?
本物を大切に使って、暮らしを豊かに楽しんでいる人なのか?

私は普段からお気に入りの手彫りの認印をバックに忍ばせています。
「認印はお持ちですか?」と聞かれると、「待っていました!」とマイハンコの出番。

印面に刻まれた小さな世界に、印刻師の創意工夫が込められた認印は、
自信を持って人に見てもらいたい唯一無二の私の印(しるし)。
使う度に愛着を感じています。

人生を切り開くのは自分次第ですが、自信を与えてくれる自分の印を持つことは背筋をまっすぐに伸ばすような気持ちにしてくれます。
あなたの分身ともいえる認印、あなたの自身の目で大切に選んでください。
良いものを大切に使う日本の心を大事にしていきたいですね。

(文・橘さつき)

column 02

名刺に朱色の花が咲いた!

名刺はその人を印象づける大切なもの。

私の自慢は、名刺に朱色の花を添える手彫りの名刺印です。

自己主張すぎることなく、さりげなく名刺に溶け込む私だけの印(しるし)。
人に手渡す度に話題になり、人との出会いをつないでくれる私の可愛い分身です。

一枚一枚、自分で捺す手作業も楽しいひと時。
僅かな手間を惜しまないで、丁寧に生きる豊かさを感じています。
名刺だけでなく手紙やカードにもサインの横に添えて。

肩書のないプライベートな名刺も、
手彫りの名刺印があなたの唯一無二の存在を伝えてくれます。
わずか数ミリ四方に美しく表現された世界が語りかけてくることば。
新しいあなた自身を発見できるかもしれません。

定年退職されるご両親へ、第二の人生のスタートをお祝いして
名刺と名刺印のセットも素敵な贈り物になると思います。

どう暮らしに活かし使うかはあなた次第。うれしい発見につながります。

(文・橘さつき)

column 03

役目を終えたハンコをどうしていますか?

大切な場面で、常に持ち主の分身として活躍してくれたハンコ。
亡き人が愛着をもって大切していたハンコは、たとえその役目を終えても、なかなか捨てる気にはなれないものです。

でも、ずっとそのまま置いて、後の決断を後の人に委ねることが、果たして本当に良いことなのか?
例えば、自分にとっては祖父の大切な思い出として遺しておいたものが、次世代や更にその次の世代では不要品として、いずれ処分されてしまうかもしれません。
モノを遺すことにもそれなりの覚悟が必要です。

そんなお悩みに応えて、二つの方法をご提案いたします。

① 印章供養祭で供養をする

明治6年10月1日に太政官令による「個人の実印制度」の施行が始まった日を記念して、公益社団法人全日本印章業協会では10月1日を「印章の日」と決めました。
意外と知らない人が多いのですが、各地の印章業組合ではこの日の前後に「印章供養祭」を行っています。

「ハンコの里」である六郷印章業連合組合では、毎年10月1日に富士見ふれあいの森公園にある印章の塔の前で、「印章供養祭」を開催しています。
使わなくなったハンコをお預かりして、皆様の代わりに無料で供養をしています。

印章供養は、神官のもと『四方固め~降神の儀~祝詩奏上~玉串奉てん~昇神の儀~お炊き上げ(焼納供養)~献杯』と、古式祭礼にのっとって厳格に執り行い、供養後には印章供養証明書をお渡ししています。
ご自身の手でご供養されたい方は、印章供養祭へ是非お越しください。
「ハンコの里」としての歴史を刻む町での印象供養祭は、きっと秋の富士を近くに眺める素敵な小旅行になることでしょう。

印章資料館では、ハンコを地場産業として発展した町の歴史に関する史料や印章彫刻の道具類や作品などが展示されています。
ここには、世界的にも貴重な「十鐘山房印挙(印譜集)」も収蔵されているのです! 
足袋の行商の経験を活かして、全国にハンコの販路を開拓した、この町の逞しい先人達。
このハンコのカタログ注文販売は通販の先駆けとなりました。

生き物だけでなく、愛用したモノの命と魂にも思いを馳せ、役目を終えたモノに感謝し、供養して手離す。
こうした日本人ならではの美風こそ、現代社会を豊かにするものではないでしょうか。
供養して手離すことで、心に豊かなものが生まれ育まれます。

供養祭 供養祭 供養祭

もう一つ、ご紹介したいのが、

② 印材に再彫刻を施し、新しい印章に再生する

印材にひび割れなどの問題がなければ、印面を擦って平らにし、子どもや孫用の印章に再生する方法もあります。これは「形見」にもなりますね。
銀行印だったものを、花個紋など日々多彩に活躍する印にすることも可能です。

この半世紀で人々の暮らしも働き方も大きく変わり、家やお墓の継承を難しくしています。
そうした社会だからこそ、印章のカタチを変えて世代間で受け継いで愛用していくのも素晴らしいことだと思います。

思い出の品として奥に閉まってしまうよりも、カタチをかえて日々愛用してもらうほうが、ハンコも嬉しいのではないかしら?
おじいちゃんの愛用のハンコを孫が使えば、お守りにもなりますね!
家族で受け継いでいく手彫印章も小さい素敵な家宝になると思います。

(文・橘さつき)